3. 国内積立商品と海外積立商品の比較
国内積立商品のメリット・デメリット
海外積立投資をするには、国内の金融機関で販売されている金融商品と、海外の金融機関が運用している金融商品に直接投資する2つのルートがあります。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
国内積立商品のメリットとして以下の点が挙げられます。 ・日本語情報を得やすい安心感
・一般的に最低投資単価が低い
・大手ネット証券で海外に投資する投資信託の取り扱い本数が大幅に増加
・手数料の安いインデックスファンドを組み合わせた、バランス型投信が登場
ただし、国内の積立商品の最大のデメリットは、コストパフォーマンスが悪いことです。
これを日本の代表的な積立投信であるセゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」を事例にみてみましょう。同ファンドの最低投資単価は1万円以上で、非常にお手軽に始めることができます。
同ファンドの売り文句は以下の通りです。
・株式を中心に世界に幅広く分散投資:
主として米国、欧州、日本、新興国の株式へ投資
・厳選したファンドへの投資:各地域に強みを持つ運用会社を厳選。
投資対象ファンドはすべてアクティブファンド
・長期的視点に立った運用スタイル:
短期的な相場の値動きに翻弄されず、成果が上がるまで時間をかけて運用
しかしその中身をみると、「さわかみファンド」「バンガード・米国オポチュニティファンド」「ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンド」など、複数のファンドを組み合わせた、要するにファンド・オブ・ファンズです。
ファンド・オブ・ファンズは余計な中間コストがかかるため、手数料が高くなる傾向があります。同ファンドは販売手数料こそ0%ですが、実質的な信託報酬として毎年1.3%(±0.2%)がかかります。さらにその他費用として、「監査費用」「有価証券の売買の際に発生する手数料」「有価証券の保管に要する費用等」(運用状況により変動するので、事前に計算方法、上限等は示されない)がかかります。
多少の手数料がかかっても、運用パフォーマンスがそれを超過してくれるのならそれで良いとしましょう。ところが同ファンドの基準価格騰落率は、2006年の設定来マイナス32.55%(2011年10月31日現在)です。過去に分配金は一度も支払われていません。
長期投資でドルコスト平均法を味方につけるのが積立投資の利点とはいえ、下がり続ける商品を積み立て続けることに意味があるでしょうか? 自分年金の成否を決めるのは最大の要因は長期の運用成績なので、このトラックレコードには懸念が残ります。
また、原則として為替ヘッジは行わないので、為替リスクは投資家が負うことになります。さらに、アクティブファンドなのに市場平均利回りを下回っていることも問題です。これでは最初から手数料のかからない、インデックスファンドに投資しておいた方が良かったということになりかねません。
海外積立商品のメリット・デメリット
まず、デメリットとして以下の点が挙げられます。
・国内商品と比べると日本語情報が得にくい
・国内商品と比べると最低投資単価が高い
・本当に信用していいのかどうかわからず漠然と不安
ただし、海外積立商品のメリットは、その圧倒的なパフォーマンスの良さです。
ここでは代表的な海外積立商品として、ハンサード社の「アスパイア」とフレンズプロビデント社の「プレミア」を例にみてみましょう。いずれも年率利回りで10~20%を維持する優良ファンドです。
注)ロイヤルロンドンという有名な海外積立ファンドがありますが、日本人向けに改良されたCR(キャピタル・リデンプション)型の商品ではありません。保険機能がついているので、日本居住者は買えません。
また、これは両社について言えることですが、運用会社はイギリスの自治領で、世界有数のオフショア金融センターであるマン島に本社を置いていることです。マン島政府はAAAの格付けを取得しており、マン島で設立された運用会社が倒産しても、その顧客に対してマン島政府が資産の時価の90%までを保証しています。
いずれも親会社はイギリスの名門生命保険会社で、イギリスの株式指数FTSE250銘柄に採用されている大手ですので、信用リスクを心配する必要はほとんどありません。
◆ハンサード社「アスパイア」
世界中の厳選された100本以上の優良ファンドから、安い手数料で好みのファンドを何本でも購入できる海外積立商品。
アスパイアという商品自体は、これらのファンドを入れるための〝箱〟と考えればよいでしょう。
最低投資単位は月々150ポンド(約2万円)ですから、海外の積立投資商品は高いというイメージほどではありません。増額は50ポンド(約6500円)単位。24カ月の初期ユニット期間経過後に積み立てた分は、自由に現金に戻せます。
クレジットカード決済、銀行引き落とし、いずれも可能で、香港などの海外に銀行口座を開く必要はありません。初期コストはかかりますが、国内投資信託より信託報酬等の維持手数料が安いのが魅力です。
◆フレンズプロビデント社「プレミア」
フレンズプロビデント社が世界中から厳選した約200本の優良ファンドの中から、10本まで選択投資できる海外積立商品です。
最低投資単位は月々500米ドル(約4万円)からで、積立期間は10~25年間。こちらも初期ユニット期間経過後は、一部引き出し、積立額の増減などが自由に設計できます。
また、オンラインで現在の資産状況を確認できますし、クレジットカード決済ができますので非常に便利です。
なお注意点として、プレミアには「香港101型」と「CR型」があります。後者は保険商品ではありませんが、前者は保険商品ですので、日本人が購入すると違法性が問われる可能性があります。
ハンサード社の「アスパイア」とフレンズプロビデント社の「プレミア」は、いずれもファンドの運用実績と運用歴の長さでは甲乙付け難いものがあります。ただし、決定的な違いは手数料です。
結論を言えば、コスト面ではハンサード社が有利です。その理由をまとめると以下のようになります。
手数料の違い
「初期ユニット」の段階ではフレンズプロビデントの場合18か月間、ハンサードの場合24カ月間と、ハンサードの積立期間が長いのでフレンズプロビデントの方がお得です。ただし、その後の時価総額にかかる手数料については、ハンサードはフレンズプロビデントの約1/4程度(満期近くになってくるとハンサードとフレンズプロビデントで年間100万円以上手数料が変わることもある)のため、結果的にハンサードの方が格段に安くなります。
ボーナスの違い
フレンズプロビデントの場合500ドル(約4万円)からのボーナス(500ドル積み立てた場合637.5ドルで初期ユニット期間の18か月間積み立てられる)ですが、ハンサードの場合250ポンド(約3万3000円)からボーナスが付き、しかも初月に500%のボーナスが付きます(5万円で積み立てた場合、初月に30万円から運用される)。
これらを反映した結果、毎月5万円を25年間、ハンサードとフレンズに積み立てた場合(スイッチングをせず同一ファンドで積み立てた場合)、仮にどちらも平均年利10%で運用されたと仮定すると、フレンズプロビデントは約5500万円になりますが、ハンサードは約6900万円になります。1400万円という、かなり大きな違いが生じます。
また、フレンズプロビデントは積立期間中に通貨を変えられません(米ドル、英ポンド、ユーロ、香港ドルから最初に決めた通貨で25年間運用)。一方、ハンサードは自由に替えられます(米ドル、英ポンド、スイスフラン、日本円、ユーロなど全25種類)。
さらに、ハンサード社の「アスパイア」の特徴は円建て投資が可能なこと。為替リスクを運用会社に丸投げし、本来の投資対象のリスク・リターンだけを享受できることは大きな魅力です。
以上の違いを一覧表にすると下記のようになります。
「みんなの海外投資」(http://www.minkaigai.com/archives/5315)というサイトによると、
日本居住者はフレンズプロビデントを買えなくなりました。
→ 4.海外ファンドは日本から直接買える