2.海外投資は、コツコツ積立で相場の乱高下を味方につける

ドルコスト平均法を味方につける


長期投資を行う場合、一般的には投資するタイミングや日々の値動きを気にする必要はないと言われます。

ただし、今のような相場環境の場合、投資した翌週や、あるいは翌日にも市場が歴史的な急落に見舞われれば、目の当てられないことになります。「長期投資なのだから関係ない」と泰然としていられる人は少数派でしょう。

こうした場合、投資する時期を分散すれば、リスクは抑えられます。一気に全資産をつぎ込むのではなく、毎月一定額を積み立てれば、時間的なリスクを分散できます。自分年金のような一生涯の資産を作るには、アセットクラスだけでなく、時間軸でもリスク分散という概念が重要になってきます。

積立投資の場合、初めから右肩上がりの相場より、一度値下がりの時期を挟む相場の方が、最終的には大きな収益をあげられます。リスクを正しく理解して積立投資を実践すれば、相場が悪くても、余裕をもって見守ることができます。

ドルコスト平均法の株式の場合の簡単な事例を見てみましょう。

ドルコスト平均法では継続して一定金額を投資することで、一定の株数を買い続けるよりも平均買付単価を低く抑えることができます。株価の高い時は少ない株数、株価が安い時は多い株数を購入することになるので、長い目で見れば買付平均単価を下げることになります。売買タイミングで悩む投資家に適した投資テクニックの一つと言えます。



株価が上記のように動いた場合、毎月1万円ずつ買うと平均買付単価は987円65銭となり、毎月10株ずつ買った場合の1012円50銭より大幅に割安で買い付けたことになります。これを長期間継続することによって、大幅に買い付け価格を下げることができます。

相場の動きによっていろいろなパターンが考えられますが、ドルコスト平均法では仮に積立の投資開始時が高値であっても、その後の相場の動きによっては、スタート時まで価格が戻っていなくても収益がプラスに転じることがあります。

ただし、上記のような結果を生むためには、「途中でやめないこと」が重要です。個人投資家の中には、下がってきた時点で投資に対する恐怖感から積み立てをやめてしまう方も多くいます。そうならないためには値下がりした時の対応がカギになります。

投資を止めないで続けるためには、「負荷をかけすぎない」「リスクを取り過ぎない」「自動引き落としのように強制的に積み立てを継続させる」といった工夫も必要でしょう。


人間の感情や予測を排除する

個人投資家は、得てして高値でつかみ、安値で投げてしまう傾向があります。「まぁ、これも勉強代だ」とうそぶいても、内心ではそのうち諦めてしまうか、「今度は取り返すぞ」とばかり、より大きなリスクをとってしまうのが常です。

海外分散投資にはこの「人間の感情や予測」という弊害を取り除く効果があります。毎月々、淡々と積み立てを続けるだけです。相場好きな人にはつまらないかもしれませんが、投資ではなく投機は趣味としてやるべきでしょう。

人間は資産運用で大きな危機に直面すると、逃げる性質を持っています。だから最悪のタイミングで損切りしてしまうのです。逆に上昇しても、今後は下がるのが怖くて薄利で売却してしまいます。

米国のトレードコーチとして著名なマーク・ダグラスは、著書『ゾーン』の中で、以下のように述べています。

「本当にリスクを受け入れた精神状態を確立すれば、苦痛を感じながらマーケット情報を定義・解釈する可能性はない。苦痛を感じながらマーケット情報を定義・解釈する可能性がなくなれば、自己正当化、躊躇、早まった行動、『マーケットが儲けさせてくれるだろう』とか、『マーケットが自分に損切りする力がないのを助けてくれるだろう』といった希望的観測が排除できる」

しかし、これは常人が簡単に到達できる心理状態ではありません。

「客観的になれず、自分の行動を常に信頼できないのであれば、一貫した成績を残すのはほとんど不可能である」というのが大方の現実でしょう。

また、普段は忙しくて、相場をチェックしたり、勉強したりする時間のない忙しい人にも、積立投資は最適のツールです。自分年金作りの大きなコツと言えるでしょう。


なぜ海外積立投資か?

ではなぜただの積立ではなく、海外積立投資なのでしょうか? 

今後は、特にアジアの新興国の成長力を生かすのが日本に重要なことは、素人でも自明の理でしょう。この点について内藤忍氏は『内藤忍の資産設計塾 外貨投資編』の中で、簡潔に説明をしています。ポイントは「日本より魅力的な高成長国へ投資できる」ことと、「円安リスクを回避できる」ことです。

「BRICsを初めとするいわゆる新興国は、市場の変動が大きく、政治経済面では脆弱な面もありますが、長期的に見れば魅力的な投資対象と考えられます。高成長国に投資することで、長期的に経済成長に伴う高いリターンを期待することができます。ただしリスクの大きな市場ですから、充分な分散と投資対象の吟味が必要となります」

「短期的な為替変動を正確に予測することは困難ですが、超長期の為替レートは国家の盛衰と関係すると考えられます。イギリスのポンドが1980年代以降、対ドルレートで1800年代後半と比べると価値が3分の1にまで下落したのに象徴的です。日本円は1973年に変動相場制に移行してから、大きなトレンドとして円高が続いてきました。しかし、今後もこの傾向が続くかどうかはわかりません」

「人口減少、財政赤字の悪化、国内の個人金融資産の海外シフト、などの要因から、今後は円安傾向が進む可能性もあります。為替レートの予測は短期でも長期でも極めて難しいものですが、今後は自国通貨安のシナリオも想定しておくべきでしょう」

ほとんどの日本人は資産の大半を円で保有しています。このような人たちにとって最悪の事態は、円高ではなく円安です。同氏は「外貨資産は持つことよりも、持たないことがリスクである」と結論付けています。

先進国はイタリアの例に漏れることなく、みな債務圧縮が課題です。国や企業のバランスシートが健全で、債務圧縮に追われない新興国は、今後も有力な投資対象であり続けるでしょう。また、新興国そのものだけでなく、新興国で稼ぐ先進国の企業の株や債券も投資対象として浮かび上がります。



→ 3. 国内積立商品と海外積立商品の比較